ロバ日記

温泉旅館に看護師を採用すると変わる3つの事

要介護の親と旅に出たいと思ったら

要介護のご両親と旅行を楽しむヒントを連載中。

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「和みの風」を開業して、今年で10年目になります。
「持病や障害を持っていても旅の幸せを感じられる環境を作る」と頑張ってきました。
しかし、開業時と比較して
残念ながら社会全体がそういった方向に進んでいるとはとても思えません。
やっぱり「旅行なんてあきらめている」方がたくさん多いのです。
業者が取り扱う介護旅行も確かに増えましたが、料金面からとても一般的とは言えません。

介助が必要であっても旅行を楽しめるようになるためにはどうしたらいいのか。
私は2つの事がまず必要だと思っています。

  1. 介護に慣れている宿泊地が増える事。
  2. 家族が一緒に旅行出来るスキルを学ぶ場がある事。

「和みの風」はまさに1.のために作った宿であると言ってもいいと思います。
車椅子でも、片麻痺でも旅を楽しめる環境を整えるために作ったのですから。
でも、1つの宿では何も出来ません。
多くの宿で、そういった方の受け入れが出来るようになって、初めて社会が動くのだと思います。

という事で、一つの提案です。

「温泉旅館に看護師を採用すべし」

……一体、何が変わるのでしょうか。

宿の建物が変わる

車椅子では使いにくい場所、危険な場所。
ホテルなどに泊まった時、ぱっと見ただけでも気になる場所があります。
何も高額な工事費をかけてバリアフリールームを作ったり、大規模な改修をする必要はないのです。
ちょっと手すりを作る、物を移動して場所を広げるといった事でいいのです。
スロープだってあるにこした事はありませんが、
車椅子のお客様がいらしたときに介護用のスロープを取り付けるだけだって十分なのです。

そういった「ちょっと危険な場所」に気がつけるのも、看護師ならではの視点です。
訪問看護師や福祉住環境コーディネーターといった資格を持っていればなおさらいいのですが、
一般の看護師だって考える基礎は持っています。

介護ベッドの導入もいいですね。
介護保険が導入されて、介護ベッド(=電動ベッド)が非常に手に入りやすくなりました。
ケアマネージャーさんと連絡をしながら必要性が確認されれば、
ひと月に1,300円以下で借りることが出来ます。
安価な事もあり、多くの方に利用されています。

それだけ普及されたにもかかわらず、ホテルや旅館ではほとんど見かける事がありません。
どの部屋のどの位置に電動ベッドを設置すれば、より使いやすいのか。
そんな事も看護師であれば、答えを出すのは容易だと思います。
採用して半年もすれば、宿の使いやすさが格段に変わっているのではないでしょうか。

サービスが変わる

介護旅行において、お客様個々について求められるサービスは一般の方よりもさらに千差万別です。
だからより難しいと思います。
しかし、ある程度の共通性は見られます。
例えば車椅子の方だったらどういったサービスが喜ばれるのか。
職員全体でお迎えするために、研修も必要になるでしょう。

基礎をふまえた上で、そのお客様にあわせたサービスを提供出来るのも看護師ならでは。
それは、病院で困っている患者さんをたくさん見ているから。
「看護師さんにとてもよくしてもらった」と患者さんからよく言われるのは、
「何に困っているのか」を察知する能力が高いからなんですね。
そういった経験は、宿のサービスにおいても発揮されます。
もちろん旅行に来たお客様は重病ではありませんから、求められるサービスは異なりますが、
きっと満足できる「ちょっとした事」をしてくれると思います。

タイトルで「温泉旅館に」と書いたのには意味があります。
日本人は絶対的に温泉が大好きです。
そのお手伝いをするために、看護師は十分役に立ちます。
お風呂場はとても危険が高い場所。
ただでさえ滑りやすい上に、ズボンやベルトなどがなく裸なので支える事が難しくなります。
どのように介助すれば、危険なく入浴出来るか。
そんな事を考えられるのも看護師の強みです。

緊急時の対応が変わる

高齢の方が宿泊するとなると、夜中に救急車騒ぎなるのでは…?
なんて想像もするかもしれませんが、「和みの風」では全くありません。
救急車どころか、ご宿泊中に体調を崩した方は開業以来おりません。
皆さん、体調を万全に整えて、旅行中も無理をしないのがいいようです。
気を張っているというのもあるかもしれませんね。

むしろ、お子さんが発熱したという経験の方が多いです。
旅行ではしゃぎすぎて、疲労がたまってしまうのも一つの要因でしょう。
お子さんですので安静にしていれば改善される方がほとんどです。

そういった時、看護師がいるというのは安心材料になるでしょう。
「様子見て大丈夫だと思いますよ」といった一言が、
お客様の安心に繋がりますね。

お子さんといえば転んでけがをしたというのもありました。
傷の手当だって、看護師さんならば慣れたものです。

もしかしたら、救急車の要請が必要な場合もあるかもしれません。
それでも救急車の到着まで、適切に対応してくれるでしょう。
また、旅行中に何か変化が見られた時でも相談しやすく、
お客様の満足に繋がる事は間違いありません。

看護師がいる意味

以前、「和みの風」に興味を持って頂き、ご挨拶に来られた方がいました。

このブログ内での助手さんが看護師さん。
あるホテルで働いておりました。
せっかくの看護師の能力を持っているのにも関わらず、全く活かされなかったそうです。
とてももったいないと思いました。

実際、「ここはこうしたらいいのに…」と思う事もあったそうですが、
一職員として、声に出す事はなかったそうです。
せっかくの専門職の視点なのですから、
明らかにしてほしいですし
宿側も耳を傾けるべきだったと思いますね。

「看護師がいる安心」
介護が必要な方が旅行する際、
とても大きな支えになります。
環境を整え、旅行を見守る。
もちろんコストもかかりますが、
それ以上にお客様と宿側の満足に
繋がるように思います。
社会全体が変わるよう、
看護師が活躍出来る宿が増える事を願ってやみません。

次項目  F-3 そこまでして旅行に行ってほしいのはなぜ?
前項目  C-4 脳梗塞で片麻痺になっても旅行できる方の共通点

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