ロバ日記

旅は自己満足でいいんです

要介護の親と旅に出たいと思ったら

要介護のご両親と旅行を楽しむヒントを連載中。

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昨日ご紹介したエピソード。
ご覧になっていない方は、まず始めにごらん下さい。

このエピソードをふまえて、認知症と旅行について考えていきたいと思います。

覚えていなければ旅行は無駄?

まず始めにお兄さんの「覚えていられないんだからやめといたら」という言葉。
認知症になってしまうと、残念ながら旅行そのものを忘れてしまう事が多いです。
せっかく大変な思いをして行ったのに、覚えていてくれなかったらとても残念ですよね。

でも、忘れてしまうからって、旅行に行くのは無駄なのでしょうか。
私はそうは思いません。
旅行先の写真を見る事で、楽しかった時間を思い出せる場合だってあるのです。
もし、全く思い出せない、もしくは「こんな所に行っていない」と否定したとしても、
みんなで楽しんだ思い出はいつまでも残っています。

「覚えていないから」と言って旅行しないのであれば、
乳幼児期(出生から5歳あたり)のお子さんとの旅行は何のためにするのでしょうか。
旅行に行ったとしても、ほとんど覚えていてくれません。
それでも旅行に行くのは、みんなで楽しんだという「思い出」を作りたいからですよね。
高齢者だって、認知症の方だってそれは同じはずだと思うのです。

旅行をすると認知症状は悪化するの?

認知症の方にとって環境の変化はとても大きな問題です。
「娘と一緒に暮らすようになった」、「施設に入居した」など大きな環境の変化は、
症状に大きな変化をもたらせる事が多いです。

では、旅行の場合はどうなのでしょうか。
恐らく短期間の旅行であれば、それほど大きな変化はもたらさないと思います。
もちろん帰宅後に症状が悪化する事はあるかもしれません。
でもそれは一時的で、すぐに戻ると考えていいでしょう。
もし、旅行をきっかけに大きく変化し、さらに改善しないのであれば、
「旅行なんてするんじゃなかった…」というご家族の不満が伝わり続けている、
と考えた方がいいのかもしれませんね。

また、帰宅後の一時的な症状悪化は、
旅行を繰り返すと目立たなくなるという体験談も聞いた事がありますよ。

やっぱり大人数の方が安心?

いつ何が起きるか分からないので、
目を離さないようにするために大人数の方がいいのではと感じる方もいるでしょう。
確かに、大人数で旅行して難を逃れた例もあるようです。

でも、ご本人にとって人数が増えれば増える程、
誰だか分からない人が増えていくという事実はあります。
リラックスして旅行を楽しむということにならないかもしれません。

とは言え、軽度の方は見知らぬ方に対してしっかりと社会性を保って接することが出来ます。
その分ホテルに帰りご家族だけになった時や自宅に戻った後、
急に問題が発生する可能性が高まります。
よく顔を合わせ、緊張しない間柄の方がたくさんいるのが一番いいと思いますが、
そう都合よくはいかないでしょうね。

現実的にはご本人を含めて3〜4人程度かと思います。
子供達を連れて行く場合、状況を理解出来る子であればいいのですが、
幼い子と一緒に行くのは、避けた方がいいと思います。
それこそ、大人数で行ってお子さんの担当者をつけた方がいいでしょう。
必要に応じて、二手に分かれて行動するのが良い方法かと。

体調を整えるという事

突然、不機嫌になるのは認知症を看ている方なら誰でも感じているかと思います。
「家に帰る!」と叫びだしたのは、恐らく疲労が貯まって来たためと思われます。
旅に出れば全てが新しい刺激です。
押し寄せてくる情報の波に、頭がついていかなくなってしまったんですね。

体も心も疲れさせない事が大切だと思います。
余裕を持ったプランを作るのはもちろんの事、
考えさせるような事は避けた方がいいように思います。
例えば、「次、どこに行く?」や「お土産、誰に何あげる?」と考えるなどです。
脳トレはご自宅で時間があるときにした方がいいでしょう。

気がつきにくいのが体調の悪化です。
認知症の方は体の不調をうまく伝えることが出来ません。
例えば、便秘。
旅行に出ると、出にくくなってしまう方も多いと思います。
お腹のつらさが、認知症の症状を悪化させる原因になる場合もあります。
定期的にお通じがみられると、困らせていた症状が改善したという例もありますよ。

同じようにおなかを壊していたり、頭痛や足腰の痛みなど、
周囲が気にしてあげたいですね。
必要であれば早めの対処が効果的だと思います。

夜中にいなくならないために

夜中に突然いなくなってしまうというのは、時々ある話です。
その原因のほとんどがトイレと言ってもいいのではないでしょうか。
家族と言えども気を遣うので、起こさないよう静かに布団から出ます。
トイレに行くつもりで廊下をまっすぐ歩くと、たいていは玄関です。
鍵を開けるなんて簡単な事なので、静かに解錠。
一歩出たらもう戻れません、何せホテルはオートロックですから。

呼び鈴を押せば気がついてくれますが、そんな状況ではないでしょう。
もう、トイレに行きたい事も忘れているかもしれません。
運良く他のお客様に発見されればいいのですが、
何もなければホテル内をさまようことになりますね。

こういったトラブルを避けるには、
トイレがどこにあるのかを明確にしたらいいと思います。
トイレのドアを開け、電気もつけたままにしておきます。

すぐ見つけられそうにない場所であれば、
紙に矢印を書いて誘導するのも効果的でしょう。
ただし、「トイレ」だけでなくマークの表示も必要ですね。
文字の認識よりも記号の認識の方が
効果的な場合が多いのです。

玄関のドアは鍵をかけるのはもちろんの事、
ドアガードもしっかりかけておきましょう。
それでも不安であれば、
大きな音が鳴る鈴などドアノブにかけておくのも
一つの方法です。

旅行は自己満足のためにするもの

自己満足という言葉は否定的に使われる事が多いように思いますが、
言葉そのものの意味としてはそうではありません。

自己満足…………自分自身に、または自分の言動に、自分で満足すること。

goo辞書より

「独りよがり」や「自己本位」といった周囲に迷惑をかけるような旅行は困りますが、
自己満足の旅行でいいのです。
そもそも旅行は、自分が楽しみ満足するために行くのですから。

実はいろいろとトラブルを起こしやすい認知症の方との旅行。
ある意味、何かが起きて当然と思って行った方がいいのかもしれません。
つまり「覚悟」が必要なのです。

「覚悟」なんて出来ないから…と、旅行をあきらめたとしても自分を責めないで下さいね。
認知症の方を看るのがいかに大変な事なのかは、介護した事がある方なら皆さん知っています。
是非、無理をしないで頂きたいです。
心穏やかに過ごすのが一番いい事なんて、分かっているんです。
それが出来ないからこそ、つらくあたってしまうんですよね。

ただ、もし連れて行ってあげたいと思うのであれば、計画を立て実行してみて下さい。
大変な事もあるとは思いますが、いずれいい思い出になり、
大変だった事は忘れ去っていくと思います。
いつか一緒に過ごせなくなった時に、
「あの時行ってよかった」といい思い出になる日が
必ず来ると思っています。

いきなり長期間の旅行は負担も大きく、
症状を悪化させる可能性は否めません。
ちょっとした外出から始め、
短期間の旅行を続けていけば、
有効な刺激となり認知症の進行を
遅らせてくれるかもしれません。
何より、その一緒の時間がかけがえのない
ひとときになると思いますよ。

次項目  E-8 脳梗塞で片麻痺になっても旅行できる方の共通点
前項目  E-6 「末期がんと言われた母、旅行なんて考えない方がいいのでしょうか」

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