北海道上士幌町は十勝の北側にある町。肉牛飼育が盛んなので、ふるさと納税でご存知の方も多いでしょう。ここの認定こども園は「ほろん」と呼ばれ、保育園留学でも特に人気のある場所です。保育園留学を考えた時に、北海道を選択肢の一つとして挙げる方が多いと思いますが、上士幌町はそんな北海道の良さをギュッと絞った場所。広大な自然、そして美味しい食べ物、人の温かさなど、移住は難しいにしても短期間であれば、その環境を体験してみたいという方は多いのではないでしょうか。
和みの風から車で40分。ここでは北海道上士幌町認定こども園ほろんの魅力をお伝えしたいと思います。
おおらかな環境は豊かな心を育む
上士幌町は面積で言うと600㎢、なんと東京23区より更に大きい一つの町。多くは山林に囲まれていますが、町は平地なので坂は多くありません。町役場の隣に広がる駐車場に大きな平屋の建物。もう10年以上前からこども園として上士幌町の保育を一手に担っています。
広い玄関を抜けると大きな万華鏡がお出迎え。子ども達の好奇心をくすぐります。教室は全部で6つ。大きなゆうぎホールにはクライミングもできる設備もあるんですよ。お昼ご飯の後は、ここでみんなでお昼寝。以前は別の午睡室があったのですが、園児が増えすぎてこちらに移動。開放的な広さで気持ちよく眠れそうですね。
外には大きなグラウンド。ビルも電線もなく、とにかく広い大空があります。遠くには十勝山脈の山々が。遠くの緑は目にも優しんです。
ほろんを説明する中で大事なのが「ほろんの森」と呼ばれる遊び場。グラウンドとは別の場所に子どもたちが喜びそうな仕掛けがたくさん。木の平均台だったり、忍者小屋があったり。昔懐かしい手押しポンプもあり、実際に水遊びもできるんです。手押しポンプを押す機会など今は滅多にありませんから、貴重な体験。「となりのトトロ」で出てくるサツキちゃんとおんなじ場面ができますね。
実はここ、誰でも遊べる開放された場所。「責任が取れないから園児たちだけ」、なんてことは言いません。実際、この写真を撮った時も地元の小学生たちが歓声をあげていました。
ほろんの魅力はハード面だけではありません
ほろんでは「ほろんの森」を筆頭に、遊具を活かして自立を促す遊び方を推奨しています。例えば、ここに30分いたら子ども達はあっという間に泥んこになって遊びますよね。水遊びなんか始まったら、あっという間に泥だらけ。砂でお山をつくったり、おままごとしたりかくれんぼしたり。時にはケンカもするでしょう。そうした自然や子ども達との関係との体験の中で、自分たちで考えながら楽しんでいく事自体が、成長の過程が詰まっていると考えていました。手や足を使った様々な体験が遊ぶ意欲を高め、より豊かな心を育んでいく成長を手助けしたい…という狙いが込められているようです。
遊び方が決まったおもちゃだけで楽しむのではなく、子どもたち自らが遊び方を考え出して過ごす時間なんて、なんと有意義なことでしょう。
また、海外の文化と触れ合うために、外国人講師が常駐。日々のコミュニケーションを通じて自然と英語と触れ合えるよう関わっているようですよ。
お邪魔した日は消防クラブの任命式。園児たちが防災のはっぴを着て町内を練り歩くそうです。拍子木をたたきながら、防災を訴える姿はなんとも微笑ましく感じます。そうやって地元の方たちとの関わりの中で、子どもたちも役割意識が芽生えていくに違いありません。
なぜほろん?
見学をさせていただいた方に、「留学先としてなぜほろんが選ばれるのか」と直接聞いてみました。意外な事に「さぁ、なんででしょうねぇ」とのお答え。
地元で過ごす長いとその良さに気が付きにくいのは、あるあるですよね。私が考えるにその良さは冒頭でも書いた、北海道の良さがぎゅっと詰まったところ。このグラウンドの写真たちだけでもその空の広さが伝わると思います。ほろんだけではなく周りの畑も、住宅も、一般の道路だって都会とはまるで違う大きさです。食事だって北海道ですから、素材は間違いありません。何を食べても美味しいと、和みの風に宿泊される方によく言われます。そんなわかりやすい魅力がほろんには詰まっているのですね。
でも、それだけではありません。どろんこになったり、大声で笑ったり、子どもたちに伸び伸びとした時間を過ごさせてあげたいと願う職員の方々の思いが、写真や紹介文を通じて伝わってくるからこそなのだと思います。
今まで留学された方々の感想では、みなさん満足されて帰られるそう。初めはやっぱりお友達に溶け込めず躊躇するそうですが、すぐに馴染んで笑顔に。1〜2週間と短い期間になるのがやはり残念。職員の方々としては1ヶ月ほどいてほしいと考えているようですが、現実問題それはなかなか難しいですよね。
実際の生活はやはり車があったら便利なようです。とはいえ、全く生活できないかというとそうでもなく、町内を巡回しているバスを利用するのも有効だとか。このバスなんと無人、自動運転なんです。もちろん安全面には十分配慮して町内を走るため、速度は20km/h未満とあまり出ませんが、未来を感じさせる乗り物ですね。雪のある冬季はまだ運転手がいるものの、無人でも大丈夫か実証実験もおこなっているようです。
もし、運転が全くできないのであれば清水町という選択肢もあります。こちらはスーパーや駅が徒歩圏内でアシスト付き自転車もレンタルできるそうですよ。
ほろんは2023年から保育園留学の受入を開始し、今年少し受け入れ人数を増やしました。それでも、もういっぱいと。上士幌町には1つしか子ども園がないので、これ以上増やすのは受け入れ態勢としても難しいと話します。もし、空きがあるのであれば早めのご予約がいいのではないでしょうか。
大きな北海道での大きな経験。間違いなく親子の関係性に変化が起きるきっかけになると思います。