いつもロバの「さくら」のえさでお世話になっている酪農家さんが、
こんな声をかけてくれました。
「今度、牛の角切るんだけど、どう?」
こんな風に牛やさんと親しくなるまで、全く知らなかった事ですが、
牛乳を作るための牛(乳牛)にも角は生えてくるんだそうです。
テレビなどで肉牛や乳牛を見る事があっても、肉牛は角あり、乳牛は角なしというのは、
品種の問題なんだと思っていました。
角があると牛同士で傷つけあったり、お世話をする際、人に怪我をさせてしまう事があります。
それを予防するために角を切るんです。
「除角(じょかく)」というそうですよ。
角を切るとおとなしくなるという効果もあるそうですね。
こんな機会は滅多にないので、「はい、よろこんで!」
汚れてもいい服装にカメラを持っていざ出陣。
これは切る前の牛。
ちっちゃい角が見えますね。
切る場面は話で聞いていたので、何となく想像付いていました。
が、やっぱり迫力があります。
そりゃそうですよね。
角を切られちゃうんですから牛もいやがります。
切る方ももちろん、牛自体も怪我しない様、細心の注意を払って行っていましたよ。
写真も撮りましたが、あまりにもグロテスクな場面があるので伏せておきます。
実態を知りたい方は「除角」で調べてみて下さい。
かなり生々しい場面を見る事が出来ますよ。
私は看護師という仕事上見慣れているのですが、血の付いた場面がたくさん出てきます。
「何事も体験だから…」
と、渡されたのが角を切る器具(除角器)。
「え………。」
確かに何事も体験ですが、やっていいのかと思いつつ、やらせて頂きました。
出来るだけ痛む時間を短くしてあげたいので、渾身の力を込めますが、すぐには終わりません。
思ったよりよっぽど力が必要です。
何とかとれた時には両膝がガクガクしてました。
牛に対して「はい、がんばるよ~」「もう少しで終わるよ~」と思わず声がけしてしまったのは、
看護師の職業病でしょうね(笑)。
牛にとっては一生に一度かもしれませんが、大変な苦痛でしょう。
それを牛が生まれる度に行う酪農家さんも大変な作業です。
ある時ぽつりと言っていました。
「この仕事は慣れないんだよなぁ…」
牛への愛情を感じますよね。
こういう大変な世話を経て、牛乳として私達の口に入ってくるのだなぁと改めて思いました。
ここに引越して来て、つくづく思うのです。
私達は食べ物がどのように作られているのか、本当に全く知らないんだなぁと。
そんな事を感じられただけでもとても有意義な体験だったと思いました。