お客様の声

初心を思い出して…

先日ご宿泊頂いたお客様のお話です。

関西からフェリーでいらして、今回の北海道旅行は全9泊。御主人は足が不自由のため、車椅子での移動です。高齢のご夫婦で、介護者は奥さん1人。車椅子の御主人とともに、9泊も北海道旅行をするのはかなり大変かと思います。運転から、荷物の運搬、リフトはついているというものの車椅子の車への積み込み…。すべて一人でこなさなくてはなりません。「もう何度も出かけてますから」と奥さんはにこやかに話していました。

その車椅子は電動車いすなので、操作をするレバーがあるんです。食事の際、それがテーブルに引っかかってしまい、どうしても身体との間に隙間が出来てしまいます。宿の椅子への移動を提案しましたが、よく見るとその操作レバーは外れそう。ちょこっと引っぱると、見事に外れました。「あ~、これはずれるんですね」と、とても嬉しそうな表情と共にうっすら涙が。

聞くと、もう3年程使用しているそうですが、いつもこのレバーのために食事がしづらかったと。ちょっとした事ですが、その表情に、色々と苦労されてきた場面が想像できました。「和みの風」の家庭的なお食事にも満足して頂けたようで、「とても和みました」とご感想を頂きました。2人で仲睦まじく過ごしている時間がとても穏やかで、見ているこちらの方が、元気をもらいました。

今年もたくさんのお客様に来て頂いていますが、経営的にはまだまだ安定しているとは言えません。宿泊して下さった方の多くは、ありがたい事にとても満足して頂いています。でも、なかなかそれが広がらないのです。正直言って、家族の事を考えると、宿を閉めた方がいいのかと思う事もありました。

でも、このお客様にお逢いして、「やっぱり続けなきゃいけないんだ」と再確認。このお客さんは旅慣れているので、普通のホテルでもそれ程問題なく宿泊できることでしょう。こんな風に旅行が当たり前にできる様な、ご夫婦がどんどん増えてきたらとても嬉しい事なんです。その「きっかけ」が私達の宿だったら、こんなに嬉しい事はありません。メディアヘの宣伝、クチコミの増強、広告戦略…。まだやれる事はたくさんあります。簡単に諦めたりせず、がんばってみたいと思います。「成功」するまで続ければ、「失敗」とは言わないんですよね。

画像

関連記事

TOP